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デザイン関連書籍を中心にまとめや感想などを書きます

情報デザインフォーラム『情報デザインのワークショップ』

情報デザイン ワークショップ _book 手法

情報デザインのワークショップ

情報デザインのワークショップ

本書は書名のとおり情報デザインを学ぶためのワークショップの設計例についてまとめられた本である。なので、情報デザインそのものよりも、ワークショップのファシリテーション技術についての内容が中心になる。冒頭には、情報デザインとはなにかという前提をまとめた章が、最後には、具体的なワークショップ手法がカタログ的に収録されている。本書においては、情報デザインというものが、社会問題の解決手段やコミュニティ内での合意形成(コミュニケーションデザイン)、あるいは企業におけるサービスの開発(サービスデザイン)を促進する手段として位置づけられる。美学としてのデザインではなく、仕組みをの設計を扱うデザインである。

コミュニケーションデザインのワークショップ

従来的な要求された仕様に対する製品の制作とその納品というデザイン活動から、いまだ不明瞭な課題の発見とその解決をクライアントやユーザーとともに協力しながら解決してゆくというデザイン活動へとデザイナーの担う役割が移り変わりつつある現況において、コミュニティやプロジェクトメンバーの活動を活性化させたり、適切な合意形成を成すためのファシリテーション技術として、コミュニケーションデザインは情報デザインの一つの側面として定義づけられる。コミュニケーションデザインにおける具体的な成果物としては、図解された視覚表現や、デバイスやネットワークを利用した道具、もしくは人々の日常生活を変えるサービスやシステムである。大雑把なデザインプロセスとしては以下の様なものが挙げられている。

  • オリエンテーションとチームビルディング
  • プロジェクトの企画
  • 現状調査と調査結果の資料化
  • 現状把握と視覚化・プロトタイプを活用したディスカッション
  • 解決策の提案と情報発信
  • ワークショップのリフレクション(省察

サービスデザインのワークショップ

一方、サービスデザインは、よりよいサービスを生み出すことを目的とした新しいデザイン領域として定義される。本書では、サービスを顧客に対して価値を提供するビジネスとして捉えている。ヒト、モノ、ビジネスという3つの視点をここでは提唱しており、人間中心設計の方法論が有効な考え方のひとつであると提案される。質的調査からサービスデザインは始まる。それらは分析されユーザー体験の視覚化を経て、シナリオの活用、コンセプトメイキング、ユーザーの振る舞いの可視化、ビジネスモデルの検討、プロトタイプ作成、サービスの評価という、プロセスを踏む。そのほとんどが、人間中心設計の枠組みに寄り添った形で提示される。コミュニケーションデザインのワークショップと大枠はあまり変わらないが、ひとつひとつの分析手法や取り組みに対する態度がわずかながらに違う。

感想

本書は、情報デザインの学習者というよりも、情報デザインをひと通り理解・学習した上で、ワークショップの企画や教育活動に関わりはじめる読者を想定した仕上がりになっている。冒頭に簡単な情報デザインの基礎が付記されてはいるが、それは本書の目的とする内容ではないので、その詳細な内容は示されてない。基本的な事柄について網羅的に学習したい読者は、本書に先立つ書籍『情報デザインの教室 仕事を変える、社会を変える、これからのデザインアプローチと手法』を先に手に取ることが良いだろう。個人的には、UXのワークショップの企画に携わる中で(ファシリテーターとしての役割は担ってはいないが)、その大まかな進行イメージをあらかじめ理解しておく上で大いに役立った。また、ワークショップとそのファシリテーション技術が、サービス開発やあらゆるプロジェクトの進行を優位に助けることを理解できたのが良かったと思う。

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  • 作者: マーク・スティックドーン,ヤコブ・シュナイダー,長谷川敦士,武山政直,渡邉康太郎,郷司陽子
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2章のコミュニケーションデザインについて、箇条書きでまとめています。