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デザイン関連書籍を中心にまとめや感想などを書きます

西岡文彦『イメージ生産の技術』

イメージと意味 美術史 _book

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地図好きの友人のお薦めで読んだ。書名にあるように、イメージに関するマニュアルのような本である。テンポよく、イメージに意味を載せるための具体的な作例、筆者によるイメージの言語化、ビジュアルイメージの入門的な歴史、読書術、イメージの観相学といった話題が展開される。

イメージを言葉にする

対象をどのような言葉で説明できるか。絵画や映画の解説文を例にして考察している。魅力的にイメージを語るための言葉とはなにか、イメージとは言語的にはどういう意味かと執拗なまでにその思考プロセスと併せて筆者の考えが記載されている。特に章の終わりには言語空間の話題に触れているのが面白い。

イマジネーションの原風景

以下の様な話題がなされる。

  • イメージとイマジネーション
  • 発生学におけるカナリゼーション
  • ウォディントンによる、カナリゼーションのプロセスに与えたビジュアルイメージ『エピジェネティク・ランドスケープ
  • カナリゼーションとイマジネーション
  • イメージの定義とイメージに関する文献
  • 集合的無意識と社会的な力によるイメージの形成
  • C・アレグザンダー『高速道路計画におけるグラフィック・テクニックに関するスタディ』
    • 視覚言語システム「パターン・ランゲージ」
    • デザインを「フォーム(形態)とコンテクスト(関係性)との間の適合性を発見すること」と定義(論文『形の合成に関するノート』)
  • 机上の舞台と箱庭、そしてマンダラ

感想

網羅的にイメージという大きな話題に触れようとしている点でやや情報が薄まってしまっている感は否めないが、足を踏み入れにくい分野の入り口的書物としては悪くはないと思う。言及している関連書籍も多いので、次の一冊が見つけやすいと思う。イメージの様々を語る上で言語的なアプローチをしている点は面白く共感した。

最終章では論旨が大きくなりすぎたように思える。発生学的視点がデザインの思考プロセスに関連があるということは肌感覚的にも思うが、本書の多くで扱っているビジュアルイメージの生産という話題との関連性は良く理解できなかった。個別の話題については面白いと思うし、より詳細な情報を集めたくなった。

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