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デザイン関連書籍を中心にまとめや感想などを書きます

磯部光毅『手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略』

本書は、コミュニケーション戦略をわかりやすく体系的にまとめた解説本である。マーケティング・コミュニケーションの領域を広く捉えるための最初の一冊として、活用しやすいと思う。各論の詳細は、専門書が多く出版されているのでそちらをあたったほうが良い(専門書のリストは巻末にまとまっていて重宝する)。

マーケティング戦略の一部としての「コミュニケーション戦略」は、半世紀の時を経て、時代とともに様々な手法や思想が編み出されてきた。その手法や思想は、時代に合せて進化を遂げてきたとは言え、伝統的な手法が現代においても通用しないということはなく、それを活用した企業活動はまだまだ十分に活用できるし存在しているというのが現在の状況としてある。

プランニングの現場では別々の人がさまざまな手法や思想を前提としてものを語っていて、著者はそれを「流派」という捉え方をしながら、ただ別個に捉えているだけでは不十分だと指摘する。そこで、各流派の歴史的な変遷と概観、そしてプランニングの方法をそれぞれ説明し、その関係性を提示しながら、コミュニケーション戦略を体系的に整理しようと試みるのが本書となる。

7つの戦略論と俯瞰

話は以下の8つの章に各論ごとに分けて、歴史を語るように進んでいく。よって、若い章ほど昔からある論ということになり、最終章に進むにつれて現代らしい(=インターネットを中心とした)話題になってゆく。

  • ポジショニング論(「違い」が、人を動かす。)
  • ブランド論(「らしさ」の記憶が、人を動かす。)
  • アカウントプランニング論(「深層心理」が人を動かす。)
  • ダイレクト論(「反応」の喚起が、人を動かす。)
  • IMC論(「接点」の統合が、人を動かす。)
  • エンゲージメント論(「関与」が人を動かす。)
  • クチコミ論(情報の「人づて」が、人を動かす。)
  • 7つの戦略論を俯瞰する(「戦略の統合」が、人を動かす。)

本書のエッセンスは、やはり8章の「7つの戦略論を俯瞰する」に凝縮されていると思う。

歴史と論争の視点

戦略論をめぐる歴史は大きく3つに分けられると示した上で、各時代には考え方の対立が存在していて、それらがどう影響し合い、進化してきたのかが語られる。以下はそのまとめ。心理学と重ねて行動感情理論が第3期の思想のベースにあると著者は言っている。

  • 第1期: 1940〜70年代 テレビ全盛時代の<ハードセル・ソフトセル論争>
    • ポジショニング論、ブランド論⇔ダイレクト論
  • 第2期: 1980〜90年代 経営との一体化時代の<相対価値・絶対価値論争>
  • 第3期: 2000年代〜 ネットコミュニケーション時代の<購買意思決定モデル論争>
    • IMC論、エンゲージメント論、口コミ論
    • ブランドエクスペリエンス論

感想

広告っぽい本を読むのは久しぶりだったが、言葉が平易であったため前提知識がほとんどない状態でもするすると読めた。個人的にはインターネット企業に勤めているというのもあって、ネット時代のモデルはなんとなく知っているという風な気持ちで読んでいたが、こうして粒が揃って並べられると、また違った趣があるものだと楽しめたし不足している着眼点を補填できたように思う。広告を顧客に寄り添う形で適切に選択していくことの重要性を改めて感じた。

また、情緒やイメージをベースにするブランド論は、最もデザイナーに関わりがあると思われる領域で、領域自体が広範囲ながら、ポイントがきれいに整理されている点が好印象。このあたりは個人的に掘り下げてみたい。

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ちなみに、本書はKindle版も用意されている。